医師が処方する薬は必要のあるもの

妊婦さんが飲んだ薬は腸から吸収されて血液に入り、その血液は胎盤を通って赤ちゃんの体内へと入っていきます。胎盤は有害なものを赤ちゃんに運ばないフィルターの役割も果たしていますが、妊婦さんの飲んだ薬、アルコール、タバコなど分子の小さなものはそのまま通過してしまいます。ただ、薬は種類によって胎盤を通過しやすいものと通過しにくいものとがあります。分子量の大きな甲状腺ホルモンのようなものは胎盤を通過しませんが、ペニシリン・セフェム系などの抗生物質、性ホルモン剤、ビタミンA剤などは胎盤を通過しやすいので、赤ちゃんも母体と同じ薬を飲んでいると考えてください。おなかの赤ちゃんは肝臓や腎臓の機能が未熟なので、薬物の代謝や排泄が十分に行えません。そのため薬の副作用について、よりいっそう慎重に考える必要があります。
妊娠中の貧血などの薬で気をつけてほしいのが薬の内容と薬を飲む時期です。妊娠3週ごろまでに飲んだ薬に関しては、まず問題ないと考えてよいでしょう。この時期に薬の影響を受けた受精卵は「着床しない」「ごく初期に流産する」「ダメージを完全に修復して健康な赤ちゃんを出産する」のいずれかになります。おなかの赤ちゃんへの薬の影響がいちばん心配なのは妊娠4~7週です。この時期は赤ちゃんの中枢神経や心臓、消火器、四肢などの重要な器官が作られる大事な時期。そのため催奇形性(形態異常などの障害を起こす働き)のある薬を飲んでしまうと、赤ちゃんに影響の出る可能性が、ほかの時期よりも高くなるのです。
妊娠8~12週ごろまでには口蓋や性器などの形成が行われる時期なので、引き続き、薬の使用について注意が必要です。15~16週以降になれば赤ちゃんの各器官もほぼ完成してくるので催奇形性の心配はほとんどなくなります。そして次に注意が必要なのが、妊娠後半期。これぐらいの時期になると、薬が赤ちゃんの機能や発達に影響を及ぼす可能性が出てくるので、薬を服用する場合は慎重になりましょう。薬の種類によっては飲んではいけない時期が限定されているものもあるので、自己判断での使用を避けるのが原則です。妊娠中に薬を飲む場合は、必ず産婦人科の医師の指示を仰ぎましょう。

Similar Posts